Amazonは国内外で知名度が高く、商品の販売に適したECモールです。Amazonの出品者は、利用規約を守って商品を販売しなければいけません。規約違反となってしまった場合、ペナルティが課せられてしまいます。
そこで本記事では、Amazon出品者の利用規約の概要やペナルティの内容、規則違反になることも考えられるケースを紹介します。違反をしてアカウント停止・削除になった場合の対処法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
Amazonの「出品者利用規約および出品者行動規範」とは?
Amazonでは、出品者と顧客の双方の公正さを維持し、信頼性の高い取引を提供できるように出品者に対して利用規約および行動規範を定めています。
Amazonが定める、出品者の行動規範の原則は以下のとおりです。
引用元:Amazon 「出品者利用規約および出品者行動規範」
- すべての準拠法およびAmazonのすべての利用規約を遵守する。
- アカウント情報を常に最新の状態に保つ。
- 自分自身について虚偽の情報は決して登録しない。
- Amazonを利用する購入者に安心して買い物をしてもらえるよう常に努力する。
- Amazonを利用する購入者に危害を及ぼすおそれのある商品は決して出品しない。
- 誤解を招く行為、不適切な行為、または不快感を与える行為を決してしない。この原則は、次のような内容すべてに当てはまります。なお、これらは例として挙げたもので、これに限定されるわけではありません。
- アカウントについて指定する情報
- 出品情報、コンテンツ、画像について指定した情報
- 出品者とAmazon、または出品者と購入者のコミュニケーション
- 常に公正に行動する。不公正な行為としては、次のようなものがあります。なお、これらは例として挙げたもので、これに限定されるわけではありません。
- 購入または出品のいかなる側面においても、不正操作または潜脱行為と見なされる可能性のある行為
- カスタマーレビューを改ざんしたと見なされる可能性のある行為(偽の内容、誤解を招く内容、または虚偽の内容を直接的または間接的に指定するなど)
- Amazonの検索結果や売上順位を操作しようとしたと判断される可能性のある行為
- ほかの出品者、その出品情報、その評価に悪影響を与える意図的な行為
- 売上ランキングを操作する(虚偽の注文や、出品者自身が支払った注文、または外部から割引した注文を受け付けるなど)、または商品名や商品説明に売上ランキングに関する主張を記載する
- キーワードの改ざんにより検索ランキングを上げたり、購入者に対価を提供した検索が自然な行動に見えるようにすることで、検索結果に影響を与えようとする
- 2つ目のアカウントを開設するビジネス上の正当な理由があり、すべてのアカウントが問題なく運用されている場合を除き、出品する地域ごとに維持できるセラーセントラルアカウントは1つのみです。ビジネス上の正当な理由の例を以下に示します。
- 複数のブランドを所有し、それぞれ独立したビジネスを行っている
- 2つの異なる法人で、商品を製造している
- 別々のアカウントを必要とするAmazonのプログラムに参加している
- 価格協定に関する法律に違反する行為を行わない
要約すると、
- アカウント情報は虚偽の記載を避けて最新の状態にする
- 危険な商品の出品を避け、顧客が安心して買い物ができるように努める
- 誤解や不快感を与える行為などをしない
といったルールを守って出品することが定められています。出品者として当たり前のルールであるため、しっかり把握しておきましょう。
Amazonの出品者利用規約に違反した際のペナルティ
上記でご紹介した出品者の利用規約に違反した場合、ペナルティを受ける可能性があります。違反の度合いに応じて、以下3つのペナルティを受けることになるので注意しましょう。
出品停止処分
利用規約に違反した場合、出品停止となって出品中の商品を売れなくなってしまうことがあります。出品停止の状態は、在庫管理ページから確認可能です。
規約違反で出品停止処分が下された場合、証明書類や改善計画書を提出して再出品できるようにしなければなりません。
しかし、出品停止を受けた理由によっては、再出品できないケースもあるので注意しましょう。再出品可能かどうかは、ステータスの横に表示されるアイコンの色から判断できます。アイコンが黄色であれば再出品ができますが、赤色の場合は再出品できません。
アカウント停止処分
規約違反によって、アカウントが停止されてしまうこともあります。
停止処分が下された場合、出品者はアカウントの機能を一時的に利用できなくなり、商品の販売ができません。
さらに、売上の入金も停止されてしまうので、タイミングによっては資金繰りが悪くなる恐れもあるでしょう。
アカウントが削除されたわけではないので、適切に対処すれば復活させることも可能です。なお、停止処分は規約違反以外にも、アカウントの健全性が低下している場合や不正レビューの投稿が行われた際にも実施される場合もあるので注意しましょう。
アカウント削除処分
停止処分よりも重いペナルティとなるのが、アカウント削除です。
登録していたAmazonアカウントが完全になくなってしまい、商品も出品できなくなります。
FBA(配送代行サービス)を利用している場合、Amazonの倉庫に保管される在庫がすべて出品者に返送されるため、在庫の受け取りの対応も求められるでしょう。在庫が大量にある場合、レンタル倉庫などの保管場所の確保が必要です。
Amazonのアカウントが突然削除されることはなく、事前に通告が行われます。通告内容にもとづいて改善を行わないと、削除処分を受けるため注意しましょう。通告に気付かなかった場合も警告を無視したと扱われるので、メールや通知はこまめに確認し、削除前に対処することが大切です。
Amazonの出品者利用規約違反になりえるケース
上記でご紹介したペナルティを回避するためには、出品者が具体的にどのような行為・行動をとると規約違反になりやすいのかを理解しておく必要があります。ここからは、利用違反になりえるケースを見ていきましょう。
出品情報の内容の不足
出品登録を行う際、商品のコンディション、配達方法など、購入者にとって必要な情報が不足している場合、出品停止処分が下されるリスクがあります。
とくに、並行輸入品の場合、その旨が記載されないまま出品して規約違反となってしまうケースがあるので、忘れず記載しましょう。
出品情報の不足があったかどうかは、Amazonの出品ステータスで確認することが可能です。不足している情報を追加することで、出品停止は削除されます。
出品数が多いほど、出品登録の不備は起こりやすいミスです。そのため、出品登録をする際に詳細な情報が入力されているのか、しっかりチェックすることが重要となります。
不適切な価格設定
Amazonでは、不公平な価格や法外な価格、誤解を与える価格での取引から購入者を守るために、適正な価格設定に関するポリシーを定めています。
価格の監視を行っているので、不適切と判断されると利用規約の違反となり、出品停止処分を受ける可能性もあるため気を付けましょう。
自社商品や個人で製作したオリジナル商品は、自由に価格を設定することが可能です。しかし、法外に高い価格となると購入者に対して公平性がないため、Amazonのルールに違反したことになります。また、商品自体は妥当な価格でも、配送料が高すぎる場合も不適切な価格設定と見なされる可能性が高いです。
利益の追求以上に購入者との公平性に考慮して、原価や相場に適した価格設定をしましょう。
ストアパフォーマンスの低下
Amazonには、出品者の健全性を表すパフォーマンス指標があります。
このパフォーマンスが低いとアカウントおよびストアの健全性が低いと見なされ、アカウント停止の対象となる可能性が高いです。
ストアパフォーマンスを示す指標には、キャンセル率・注文不良率(顧客満足度の維持に関する指標)・出荷遅延率の3つがあります。各指標が以下の一定の基準値を超えると、パフォーマンスが低いと判断されるので注意しましょう。
- キャンセル率:2.5%以上
- 注文不良率:1%以上
- 出荷遅延率:4%以上
各指標は、管理画面の「パフォーマンス」にある「アカウント健全性」から確認可能です。在庫切れによるキャンセルや、予定日を過ぎても発送されないなどのぞんざいな対応をしたり、低評価を付けられることが多かったりすると、上記3つの指標が基準値以上となってしまう可能性があります。真摯に対応し、キャンセルや注文・出荷でのトラブルを防いだストア運営を心がけましょう。
出品不可・出品禁止商品の販売
Amazonで商品を出品するにあたり、法令を遵守しなければなりません。したがって、商品によっては制限がかかったり、出品が禁止されたりする場合もあります。
Amazonが出品禁止や制限をする商品を販売する場合、出品停止となる可能性も高いです。
出品の禁止や制限がある商品のカテゴリー例は以下となります。
- 酒類
- 動物や動物が材料の商品
- 医薬部外品や化粧品
- 医薬品
- 栄養補助食品
- 食品・飲料
- タバコやタバコ関連の商品
- 武器や武器を模した商品 など
たとえば、酒類なら酒税法に適合していない商品やワインカテゴリー以外での出品が禁止されています。また、酒類販売免許を取得していない人の酒類販売も認められていません。このように商品によって出品の禁止や販売に制限があるので、出品前に適用法令やAmazonが定めるポリシーをよく確認しましょう。
偽物商品の販売
Amazonでは正規品の出品を絶対条件としているので、偽物商品の販売は規約違反です。
購入者から偽物を買わされたと違反報告があれば、Amazon側に規約違反していることが知られてしまいます。その結果、アカウントの一時停止処分を受けてしまうかもしれません。
意図せずに偽物商品を販売していた場合でもペナルティの対象になります。また、正規品であるのにアカウントを停止された際は、メーカーや正規代理店への請求書など本物だと証明できる書類の提出が必要です。
ブランド商品では、偽物と気付かずに出品しているケースも少なくありません。商品の仕入れは正規ルートで行うことにして、万が一のときのために本物と証明できるものを保管しておくことがポイントです。
不適切なコンディション設定によるルール違反
Amazonでは、商品の状態を示すコンディションに関してもガイドラインを設定しています。このコンディション設定が不適切であるとルール違反になるので気を付けましょう。
商品のコンディションは、大きく新品・中古・コレクター商品の3つに分けられます。
たとえば、新品は未使用・未開封かつ傷や汚れがない商品が対象です。
個人事業主を除いた個人から仕入れた商品やプロモーション品・プライズ品・おまけ商品は、新品として販売できません。さらに、メーカー保証がある商品は、保証期間が開始していたり、保証期限が切れていたりすると新品として販売できないので注意が必要です。
中古品に関しては、ほぼ新品・非常に良いなどの段階に細かく分かれるので、商品の状態に合わせて適切に設定しなければなりません。このように、コンディションの設定でルール違反があれば、出品停止や最悪アカウントの削除となる恐れがあります。
クレームなどのユーザーとのトラブル
購入者からのクレームなど、ユーザーとのトラブルが絶えない出品者も、規約違反と見なされる可能性があります。購入者への対応が悪い場合、低評価につながりストアパフォーマンスを下げる恐れもあるでしょう。
低評価は注文不良率と関わりがあり、注文不良率が1%を超えるとペナルティが課せられる可能性があります。
また、Amazonに「商品ページの内容とは違う商品が届いた」といったクレームが報告されたとき、事実関係を調査する過程で対象商品の出品が停止されるケースもあります。出品やアカウントの停止を避けるためにも、ユーザーとのトラブルにつながるリスクは排除して販売活動を行わなければなりません。
知的財産権の侵害
商品の出品で知的財産権を侵害するような行為があると、規約違反となってしまいます。
知的財産権とは、知的創造活動の中で誕生した財産(知的財産)の保護を目的にした制度です。知的財産には、著作権・商標・特許などが挙げられます。
たとえば、商品ページやパッケージに許可なく商標やロゴを使用したり、製造していない商品を販売したりすれば、商標権の侵害に該当してしまうでしょう。また、著作権によって保護される画像などを無許可で使用する行為、CDやDVDなどの海賊版の販売は著作権の侵害になります。
これらの権利侵害があった場合、気付いたユーザーやメーカー、ブランドオーナーなどからクレームが来る可能性が高いです。その結果、アカウント停止のペナルティが課せられることがあります。
複数アカウントの運営
Amazonでは、1つのマーケットプレイスが取得できるアカウントは1つというのが原則です。出品者利用規約では、「ビジネス上で正当な理由があり、各アカウントが正常に運用されている場合」に限り複数アカウントの運営を認めています。
具体的に複数アカウントの運用を認めているケースは、以下のとおりです。
- 複数のブランドがあり、それぞれ独立したビジネスを展開している
- 異なる2つの法人で商品を製造している
- 別々のアカウントが必要になるAmazonのプログラムに参加している
出品停止やアカウント停止・削除のリスクのための複数アカウントの運用は規約違反となる可能性があるので、原則1つのアカウントで規約を守って運用しましょう。
検索結果や売上ランキングなどの不正操作
Amazonでの検索結果や売上ランキングなどで出品者の不正操作が発覚した場合、規約違反となります。
たとえば、第三者への購入依頼や自ら商品を買う行為によって、不正に売上ランキングをアップさせることが可能です。
自作自演やサクラによる偽レビューを投稿し、評価を上げる行為も不正操作に該当します。
検索結果やランキング、レビュー評価は、購入時の判断基準となる大切な要素です。不正に操作すれば、ユーザーの信頼を裏切ることになり、Amazonが目的とする公平な売買体験とはかけ離れたものとなります。購入者の満足度低下にもつながる恐れがあり、アカウント停止につながる可能性もあります。
購入者に対する不適切な行為
購入者に対して不適切な行為があったと判断された場合も、ペナルティの対象となります。
具体的に禁止される行為は、取引や購入者を誘導する行為です。
自社のECサイトやその他の外部サイトに誘導する行為は、利用規約で禁止されています。Amazonも企業であるため、購入者の保護と同時に自社の利益を守る意味でもこの規約が定められているのです。
また、Amazon内での取引で取得した顧客の個人情報を不正に使用する行為も禁止となっています。個人情報が不正に使用され、顧客からAmazonにクレームが届けばペナルティを課せられる可能性が高いでしょう。
FBA納品に関する規約違反
FBAは、Amazonの物流拠点に出品商品を預けることで、保管から注文後の処理・配送・返品のカスタマーサポートまで代行してもらえる便利なサービスです。
このサービスにも利用規約があるため、遵守しなければ規約違反となります。
出品中の商品の中にはFBAで取り扱えない商品もあるので、事前によく確認しましょう。常温管理できない商品・動植物・青果・野菜・爆発物などは取り扱いできません。国際航空運送協会で輸送が規制されている危険物や、消費期限がある商品は納品可能ですが、事前に申請して通過しなければ取り扱えないようになっています。
出品者利用規約違反によりアカウント停止・削除されたときの対処法
Amazonの出品用アカウントが停止になる際、パフォーマンス改善計画の作成に関する案内メールが届きます。
案内メールの内容に従って、パフォーマンスの改善計画書を作成し、提出することでアカウントを復旧してもらうことが可能です。
改善計画書は停止から17日以内に提出しなければならないので、早めに作成に着手しましょう。
改善計画書には、規約違反の内容・発生原因・具体的な改善策とその実施効果・改善策の実施日などを明確に記載しなければなりません。また、感情的な表現の使用はNGとしているので、事実や証拠を提示しながら明確に原因と改善策を伝えてください。
改善計画書の作成・提出を無視したり、改善計画書を提出しても停止状態が解除されなかったりすると、アカウントが削除されます。この場合、アカウントを復旧させることはできないので、新たにアカウントを作成し直さなければなりません。
まとめ:Amazonの出品者利用規約の内容の遵守し商品を販売しよう
今回は、Amazon出品者に対する利用規約の内容や規約違反のケース・ペナルティなどについてご紹介しました。Amazonで販売するためには、公平性や健全性が重視されます。したがって、定められたルールや法令を遵守し、購入者と信頼性のある取引を行うことが大切です。
規約違反となれば、最悪アカウントの削除となってしまいます。それを避けるためにも、利用規約や各種ポリシーをよく把握して、Amazonで商品の販売を始めましょう。
また、Amazonへの出店でお悩みの方は「アマブースト」の活用も有効です。「アマブースト」は、Amazonに特化したコンサルティングを実施し、運用代行まで行えるサービスとなります。
運用は、マネージャー・広報部・担当者の3名体制で実施しており、クライアントとともに売上拡大の策を練り、対策を行います。商品登録の際に必要な画像の撮影も実施できるなど、あらゆるサポートを行っているので、ぜひ「アマブースト」の活用を検討してみてください。