ネットショップへの出店を検討した際、その候補としてAmazonへの出店を考えている方もいるはずです。しかし、「Amazonへ出店する方法がわからない」「手続きに必要なものがわからない」などといった不明点があり、なかなか出店を進められないといった方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Amazonで出店するメリットやデメリットをご紹介するとともに、Amazonでの出店の流れや出店する際のポイントなどを解説していきます。手数料に関しても説明していくので、Amazonの出店方法でわからない点がある方は参考にしてください。
目次
Amazonで出店するメリット・デメリット
まずは、Amazonで出店をするメリットとデメリットを解説していきます。
Amazonへ出店するメリット
Amazonは、200以上の国と地域に住む多くの方々が利用しているECモールです。
利用者数も多く、「ニールセン デジタル株式会社」の調査結果によると、2021年4月の月間利用者数は、パソコンとモバイルの重複を除き5,120万人いることがわかっています。
参考:ニールセン、デジタルコンテンツ視聴率のMonthly Totalレポートによる オンラインショッピングのサービス利用状況を発表 | ニュースリリース | ニールセン デジタル株式会社
そのほかにも、梱包や発送を代行してもらえるサービスや、商品の認知を広める際に役立つ広告掲載といったサービスも提供されているので、Amazonを利用すれば手軽に効率的なネットショップ運営を実現できます。自社ブランドを持っているのであれば、自社ブランドのAmazonストアもオープンでき、ブランド認知の拡大を進めることも可能です。
Amazonへ出店するデメリット
Amazonを活用する際には注意点もあります。
その1つが、「費用がかかる」という点です。
世界でも最大級のECモールなので、競合商品が多い傾向にあります。
そのため、広告費をかけなければ自社商品が埋もれてしまい、販売数を上げられません。商品情報を上位表示させるためにも、広告に注力する必要があるので注意が必要です。
2つ目の注意点は、「手数料がかかる」点です。
主な販売手数料は以下となります。
- 小口出品:販売手数料+基本成約料
- 大口出品:月間登録料+販売手数料
販売手数料は8~45%で、販売された分だけ手数料の負担が大きくなる仕組みです。また、本やCDといったメディア商品を出品する場合は、追加でカテゴリ別に成約料を支払う必要もあります。小口出品と大口出品のどちらも必要になるだけではなく、地域ごとに金額が異なるので注意しましょう。
Amazonで出店する流れ
ここからは、Amazonで出店する流れを解説していきます。あらかじめ把握しておくと、出店をスムーズに進められます。
1.プランを決めておく
出店をする際には、まず出店するプランを選択します。
小口出品と大口出品の2種類があるので、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
【大口出品】
販売する数に関わらず、月に4,900円(税抜)の手数料が発生するプランです。基本成約料がかからず、出品レポートの取得やカートボックスの獲得、配送料の設定といったさまざまなメリットがあります。
出品レポートでは、アクセス数や購買率などを確認できるので、売上アップのための施策材料として活用可能です。毎月複数の商品を販売したい方や広告を出したい方、出品用ツールを活用したい方におすすめの出品方法といえます。
【小口出品】
商品を一点販売するごとに100円の手数料が発生します。基本成約料が必要となるので、月に49点以下の商品を販売する小規模取引の方向けのプランです。
また、大口出品のように出品レポートやカートボックスの獲得、配送設定などは利用できません。そのため、Amazonでの出品をとりあえず試してみたいといった方におすすめです。
出品プランはいつでも変更が可能となっているので、出店後にプランを変えたい場合でも変更可能です。
2.アカウントを作成し出店申請を行う
Amazonで出店するために、出店用のアカウント登録を行います。
業種によって入力方法に違いがあるので注意してください。
【法人の場合】
- 出品用のAmazonアカウントを作成
- セラーセントラルにログイン
- 業種を選択
- ビジネス情報を入力
- 出品者の情報を入力
- クレジットカード情報の入力
- ストア情報の入力
- 本人確認書類のアップロード
- 「送信」をクリックすると手続き完了
ビジネス情報の入力では、会社の登記簿謄本を用意してください。電話番号は、連絡の取れる番号を入力しましょう。
【個人事業主の場合】
- 出品用のAmazonアカウントを作成
- セラーセントラルにログイン
- 業種を選択
- 出品者の情報を入力
- クレジットカード情報の入力
- ストア情報の入力
- 本人確認書類のアップロード
出店審査のチェック内容
出店申請では、審査が実施されます。審査される内容は、個人情報や企業情報、事業内容といった項目です。情報を調査して社会的に信頼できるかがチェックされます。
審査となれば、「落ちるのではないか」「厳しいのではないか」と不安を抱く方もいるはずです。しかし、AmazonはほかのECモールよりも比較的審査が緩いといわれています。
ただし、出店後の顧客対応や商品の品質といったチェックは厳しいといわれているので、質が悪いと判断された場合、アカウント凍結の危険性があります。十分に注意して運営を続けていきましょう。
出店審査に必要な書類
アカウント登録には、以下の書類が必要です。
- 顔写真付きの身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
- 過去180日以内に発行された取引明細書(電気料金や水道料金の請求書)
- ビジネス用のEメールアドレスもしくは既存のAmazonアカウント
- 電話番号
- クレジットカード
- 銀行口座番号
- 登記簿謄本(法人の場合)
出店審査にかかる期間
Amazonの出店審査は、申請した後3日程度で結果がメールで届く仕組みです。
ただし、あくまでも目安の日数となります。
審査に時間を要している場合は結果が届くまでに時間がかかってしまうケースもあるでしょう。期間が大幅に過ぎても審査結果が通知されない場合は、Amazonに直接問い合わせを行い、審査結果を確認してみてください。
3.商品を登録する
出品用のアカウントが作成できたら、セラーセントラル(販売管理画面)にログインし、初期設定をしてください。代金引換やギフト注文の有無、配送料金の設定を実施します。その後、商品の登録を行いましょう。
Amazon内ですでに出品されている商品を登録する場合は、商品名を検索して在庫数や価格を入力すれば登録完了です。Amazonにまだ登録されていない商品の場合は、JANコードと商品画像や商品の説明文を入力して登録を行いましょう。
- 酒類
- 食品衛生法や食品表示法、健康増進法といった法令や省庁ガイドラインに適合しない輸入食品
- 絶滅危惧種を材料としている毛皮や羽毛
- タバコ
上記は制限が課せられている、もしくは出品が禁じられているものです。
このほかにも該当する商品はいくつかあるので、あらかじめ制限対象商品のページを確認しておきましょう。
また、リコール対象となった商品を出品したい場合は、審査を受ける必要があります。リコールと商品の安全性ページを確認して、どういった商品が対象となっているかチェックしてください。
4.集客を行う
売上アップや集客を狙うためにも、広告の利用について検討していきましょう。
「スポンサープロダクト広告」は、Amazonの商品検索結果ページや商品詳細ページに表示される広告です。関連する商品を探している方に向けて表示されるので、購入意欲の高いユーザーにリーチするうえで有効な手段となっています。
「スポンサーブランド広告」は、ブランドと商品ポートフォリオを紹介する広告で、ブランドのロゴや一部の商品が掲載されて商品検索結果部分に表示されます。
また、Amazonでの販売有無に関わらず、多くの企業向けに設計された広告が「スポンサーディスプレイ広告」です。Amazonのトップページや商品の詳細ページなど、さまざまな場所に掲載されます。
5.商品が売れた後の対応を行う
商品が売れたら、ビジネスを発展させるためにもさまざまなAmazonのツールを活用していきましょう。まずは、「カスタマーレビュー」の確認です。商品が購入されるとユーザーがレビューをしてくれる可能性があります。
商品の品質だけではなく、ストアの対応についてもレビューされることがあるため、その後の運営にも大きな影響を与えるでしょう。レビューは都度チェックし、改善できる部分は改善に努めてください。
また、「価格の自動設定ツール」を活用すると、自動的に価格調整もしてくれます。おすすめ商品になる可能性もアップするので、ユーザーの目につく機会も多くなるはずです。タイムセールやクーポンの提供も有効な方法でしょう。
Amazonの公式YouTubeチャンネルやX(旧:Twitter)では、出店に関するさまざまな情報が発信されています。LINE公式アカウントもあるので、売上アップを目指す方はこちらもチェックしておきましょう。
Amazonで出店する際のポイント
ここからは、Amazonで出店する際のポイントを解説していきます。集客力や売上を上昇させるためにも参考にしてください。
商品の見せ方を工夫する
自社ブランドの商品を販売する際には、商品の登録をする際に写真や説明文を記載しますが、その内容はわかりやすいよう工夫する必要があります。商品の写真は魅力的な画像を用意するだけではなく、商品の細かい部分まで確認できる写真であればユーザーもより商品を把握しやすくなります。画像はさまざまな角度から撮影して、豊富に用意しておきましょう。
説明文に関しては、商品の特徴やメリットをわかりやすく記載することが大切です。使い方の工夫などを紹介すると、ユーザーはイメージを膨らませやすくなります。
また、大口出品の場合は、商品紹介コンテンツの作成も可能です。
画像とテキストを用いたオリジナルのページとなっているので、訴求力の高いページを作成できれば購入率の向上も図れるでしょう。
カートボックスの獲得を目指す
カートボックスとは、商品ページにある「カートに入れるボタン」を指しています。Amazonでは、1商品につき1ページというルールが設けられており、同じ型番商品を複数の店舗で販売する場合、1つの商品ページに相乗りをして出品する形となります。
そのため、ユーザーが商品を購入する場合、カートボックスに表示されている商品がそのままユーザーのカートの中に入る仕組みです。
カートボックスを獲得していない出店者の商品は、「新品 (N)件の出品:」や「こちらからもご購入いただけます」から選んでカートに入れる必要があるため、商品の購入を促すためにもカートボックスの獲得が重要になってきます。
以下がカートボックスを獲得するための条件です。
- 大口出品での販売
- 最安値での販売
- 出品の実績や評価 など
売上率を伸ばすためにも、カートボックスを獲得するための条件を満たした販売をしていきましょう。
広告配信を検討する
出店する際には、広告配信も検討しましょう。Amazonでは、前述したようにさまざまな広告サービスを実施しています。
広告を活用すれば、商品検索で優先的に上位表示される可能性があるので、うまく活用すれば集客率や売上のアップを望めます。
いくつかの広告サービスがありますが、その中でも「スポンサープロダクト広告」はクリック時に課金される仕組みなので、効率よくユーザーにアピールできる広告です。
スポンサープロダクト広告を活用すると、広告に「スポンサー」というマークが付き、上位表示されやすくなります。自動でターゲットを選出して入札金額を管理できるオート機能も備わっているので、活用を検討してみてください。
口コミ対策を行う
ユーザーが購入を検討する際の材料として、「口コミ」があります。高評価の口コミが多ければ、売上にもよい影響があるのは間違いないでしょう。
反対に、悪い口コミばかりであれば、商品が売れなくなる危険性があります。そのため、よい口コミを集めるためにも、質のよい商品を販売するだけではなく、スムーズな配送や質問に対する返信を行って高評価を獲得していきましょう。
ただし、高評価が欲しいからと意図的に肯定的な口コミを書いてもらうことを依頼することはNGです。
口コミを書いてもらえるよう誘導すること自体は問題ないので、フォローメールを配信して購入してくれたお礼とともに口コミへの投稿を誘導してみてください。
「FBA」を利用する
FBAは、「フルフィルメント By Amazon」の略語です。商品を購入してくれたユーザーに対して、商品の発送や返品、交換処理、商品のピッキングや配送手配、在庫管理カスタマーサポートまで、あらゆる業務をAmazonが代行してくれるサービスとなります。出店者は配送業務の手間が解消されるので負担が少なくなり、本来の業務にも支障を与える心配がありません。
また、FBAを利用することで「Amazonが発送します」「Amazonプライム対象」といった表示がされるため、信頼の獲得にもつながります。
プライムマークが付くことで、購入の決め手ともなるお急ぎ便やお届け日時指定便が無料で利用可能となります。
カートの獲得率もアップするので、出店する際にはFBAの活用を検討してみてください。
Amazonの出店に関するよくある質問
Amazonの出店において、審査に関する質問や疑問が多い傾向にあります。その中でも、よくある質問とその回答を紹介していきます。
Amazonの出店審査に落ちた場合はどうすればいい?
Amazonの出店審査に落ちる原因としては、「書類の不備」が多い傾向にあります。
必要な書類が不足していれば審査に必要となる情報が足りないので、審査に落ちてしまう可能性が高いです。必要となる書類はすべて用意して、審査に備えてください。
また、入力した情報と提出した書類の情報が一致せずに審査に落ちてしまう方もいます。住所や登記番号など、間違えないように確認しながら入力しましょう。修正をして再提出をすれば、通過できるケースもあります。
さらに、必要な書類のアップロード方法にも注意しなければいけません。ファイルのアップロードには、以下のようなルールが定められています。
- スマホで撮影した画像やスキャンデータである
- スクリーンショットは不可
- ファイル形式は「.png」「.tiff」「.tif」「.jpg」「.jpeg」「.pdf」のいずれか
- ファイル名に特殊記号や絵文字を含めない
- 顔写真や氏名、住所や発行日などが確認できる
あらかじめよく確認して不備のないようにしましょう。
Amazonでの出店には手数料はかかる?
出店するとなれば、以下の手数料が必要になるので覚えておきましょう。
基本料
基本料は、大口出品プランと小口出品プランで違いがあります。
月額登録料は、大口出品であれば月に4,900円(税抜)かかりますが、小口出品の場合はかかりません。
しかし、基本成約料として1つの商品が売れた際に100円を支払う必要があります。そのため、月に49個以上の商品を販売する場合は、大口出品の方が費用を抑えられるので、プランを検討する際の参考にしてください。
販売手数料
販売手数料は、大口出品・小口出品の両方に必要となる費用で、商品のジャンルによって手数料が異なります。
8~45%の手数料がかかり、カメラやスマートフォン、パソコンや大型家電であれば8%、スポーツ用品やアウトドア用品、バイク・カー用品、おもちゃなどは10%です。
また、本やDVD、文房具やオフィス用品は15%、Amazonデバイス用アクセサリは45%になっています。金額設定をする際に、販売手数料がかかることも考慮して設定しましょう。
成約料
基本成約料や販売手数料とは別に、本やDVDといったメディア商品には以下のような別途成約料が発生します。
本 | 80円 |
CD、レコード | 140円 |
DVD | 140円 |
ビデオ | 140円 |
大口出品・小口出品の両方でかかるので覚えておきましょう。
まとめ:Amazonで出店するために、事前に手順や必要なものを確認しておこう
世の中にはさまざまな種類のECモールがありますが、Amazonは利用者数も多く、商品発送や顧客とのやり取りをサポートしてくれるサービスが多いことから、利用しやすい点もメリットの1つといえるでしょう。出店する方法自体は簡単ですが、審査が必要になるので、あらかじめ必要な書類を準備して入力方法を間違えないよう注意しなければいけません。今回ご紹介した手順やポイントを意識しながら登録を進めてみましょう。
また、Amazonへの出店でお悩みの方は「アマブースト」の活用も有効です。「アマブースト」は、Amazonに特化したコンサルティングを実施し、運用代行まで行えるサービスとなります。
運用は、マネージャー・広報部・担当者の3名体制で実施しており、クライアントとともに売上拡大の策を練り、対策を行います。商品登録の際に必要な画像の撮影も実施できるなど、あらゆるサポートを行っているので、ぜひ「アマブースト」の活用を検討してみてください。